専門学校初講義体験記

ある日、唐突に舞い込んだ依頼は、就職目前の専門学校の3年生2クラスの特別講義としてGWTでコミュニケーションの重要性を再認識させてほしいとの内容でした。

思えばこれまで私にとってのGWTは、自身の「自己変容」がメインの自分磨きのためのインプット的な取り組みでした。

ごくたまに子育て中のお母さんや保育に携わる人たちに向けてGWTを提供してきましたが、それは参加者自身の気づきを支援する、どちらかというと待つスタイルのものが大半でした。

今回は、卒業までにさほど時間が残されていない参加者のために強化トレーニング的(ティーチング的)な働きかけが必要となるでしょうし、ある程度目に見える結果も求められることでしょう。

今までの自分だったら、この依頼に尻込みするところなのですが、2025年に入ってからの私は少し変でした。(笑)

何か見えない力に人生の次のステージに進むようせっつかれているような不思議な感覚を抱きながら日々過ごしていたのです。

この時も見えない何かが、私の口を借りて「はい」と即答してしまった感覚でした。

でもこれまでの仕事柄、若者は嫌いではありません。学校という空間も昔から大好きでした。

さて、「他者と会話することが苦手で、他者への関心が薄く、自分の役割以外の事には積極的に関わろうとしない。」「コミュニケーションが取れず情報共有できない。」「協力して仕事をすることができない。」という問題を抱えている学生達に、50分授業を3コマ続けて行い、AクラスとBクラスに同じ内容で、1日ずつ講義をするとのこと。

三好理事長のアドバイスのもと三つの財をチョイスし準備に取り掛かったのですが、いざ授業を想定しシミュレーションしてみたところ、わかっているはずと思っていた財の理解が案外曖昧だったことが続々判明!

準備段階ですでに膨大な学び直しをすることになったのでした。

目次

【1回目のクラス】

「参加者とGWTを信じてやれば大丈夫。」という三好理事長の心強い言葉を胸にいざ!出陣。

初対面の若者たちに安心安全な場だと認識してもらうために「みんなのこと嫌いじゃないよ~、一緒に学ぼうね~スマイル」で登壇。

しかし心中は、財の押さえどころとタイムマネージメントでいっぱいいっぱい。

そんな様子を察してか、いや、GWT効果なのだろう、いつもは手を挙げて発言することは滅多にないと聞いていたのに、どのグループも次々手を挙げて発表を始めたではないか。

ところが緊張で舞い上がっていた私は、その発表を受け止めるのが精いっぱいで、それ以上深める余裕もなくあれよあれよと3時間が過ぎていったのでした。

帰宅後、ひとつひとつを振り返り、そのどの場面でも学生とちゃんと向き合う余裕がなかったことが残念で「ああすればよかった!」「こうすればよかった!」と身悶えしたのでした。

「失敗したっていいんです!次に改善して活かすことが大事なんです。無駄な経験なんてありませんよ。」

と、今日自分が学生達にむけて発した言葉をそのまま自分で受け取り(笑)、次回に向けての作戦を練り直しました。

タイトだと思っていた50分間は、学生達が考える事を早めに切り上げるため、予想よりも早め早めに進んでいたのでタイムマネージメントは気にせず中身をじっくり詰めることに集中しようと決めました。

そこで

  1. 指示していることには、すべて意図があることをいちいち伝える。
  2. 今、していることは社会に出てからの○○の練習です。と意味づけ、今後に結び付けて伝える。
  3. 「考えてみましょう」と言うのではなく、「だれのどんな言葉」「だれのどんな行動」「自分のどんな言葉」「自分のどんな行動」など具体的に伝えてイメージさせ考えさせる。
  4. すぐに考えるのをやめる傾向にあるので、なるべく歩き回り(そのためのレイアウトも見直した)アイコンタクトや声掛けで考えを続けるよう促す。
  5. 事前に「3つ以上は考えましょう」と1つ出せば終わりではないと念を押す。
  6. 発表を受け取るだけで済ませず、ひらかれた質問を投げかけ、そのことがグループにどう影響したかなど、さらに考えさせる。
  7. 全体に問いかけて沈黙しても、こちらですぐには答えを出さず、グループで考えるよう話し合わせる。
  8. 1回目のクラスから情報が入っていることを想定し、同じものの提供ではなく違うものを提供する。
  9. そして一番の難所、私の中で一番苦手意識の強いティーチャーズコメントを自分の言葉で伝えるよう努める。
  10. あわせて、コミュニケーションの授業をすべてまとめ終わった後で、(1回目の時に、授業には参加していたが、静かに拒否表現をしているように見受けられる学生が数名いたので)「自分がやりたくない作業と向き合うときにこそ、自分でenjoyしていくことが大事」だということを伝えたい。

と、以上のことを自分に課し、1回目のクラスより手強いと聞いている2回目のクラスに挑みました。

【2回目のクラス】

前回の反省を踏まえて立てた作戦をただただ実行しました。

このクラスもGWT効果で予想していた沈黙はなく、ワークを楽しみ、自ら手を挙げて発言してくれました。

そして前回よりは考えや気づきを深められたように感じます。

それを思うと1回目のクラスにはちょっと申し訳ない気もします。

それと日本語の理解がいまひとつの中国からの留学生への配慮が欠けてしまっていたことにもあとから気づきそれもとても心残りです。

よく、子育てが一段落した人たちから「子どもを育ててきたつもりだったけれど、振り返ってみると自分が(子どもに)親として育ててもらってたんだなぁとつくづく感じる」という話を聞きますが、まさに今回、学生達から学びという収穫をたくさん受け取ったのは私の方でした。

これまでインプットの「自分磨き」止まりでしたが、今回アウトプットにチャレンジしたことで自分が大きく変化したと実感しています。

そして無謀にも飛び込んだ自分偉い!(笑)と、素直に自分を褒めている自分にも驚いています。

見えない何か、背中を押してくれてありがとう。

GWT、学生達を変化させてくれてありがとう。

学生の皆さん、たくさんの学びと貴重な時間を共有してくれてありがとう。

そして最後になりましたが、アシスタントとして同行してくれ、アフターで美味しいもの反省会を用意して支えてくれたHさん、ありがとう。

後日、担任の先生から学生達の嬉しい変化のご報告をいただき、ポンコツ講師でしたが、みんなそれぞれ大なり小なり受け取ってくれたんだなぁと、ホッとしています。

〜嬉しいご報告をいただきました〜

「いつも大変お世話になっております。

D専門学校 Sです。

この度は突然のご依頼にも関わらず、2週に渡り特別講義を賜り、誠にありがとうございました。

授業を見学させていただいて私自身も新たな気づきを得ることができました。

また、講義を通して改めて自分を見つめなおしたり、他者とのコミュニケーションを取ることを意識している学生もいるように感じております。

特に本日授業を受けたAクラスは午後の授業では積極的に質問をする学生が多くなり、授業担当教員も驚いておりました。

今回の授業で学んだことを継続できるよう、私共教員も日々学生達とコミュニケーションを取りつつ引き続き指導して参ります。

今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
先生方にもよろしくお伝えください。

簡単ではございますが、御礼のご挨拶とさせていただきます。」

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